糖尿病初期における糖尿病ソックス着用の重要性

①神経障害の改善と予防

足の神経障害は比較的早期から出現し、気がつかないうちに症状が悪化して、足の感覚がなくなり、小さな傷が元で壊疽を起こして足の切断にいたるケースもあります。
しかし、残念ながら足の神経障害に対しては、一般的に関心が薄く、十分な対応がされているとはいえません。

<神経障害の初期症状>
・ 睡眠中に足がつる
・ 足(手)先がピリピリしたり、ジンジンとしびれたり、痛みを感じる
・ 足(手)先の感覚が鈍くなって、ほてったり冷たく感じる
・ 素足で硬い床を歩くと砂利の上を歩いているように感じたり、紙が足の裏にはりついているように感じる

<原因> 主な原因として、血中の高血糖に伴って細胞の活動メカニズムが不調となって神経細胞中にソルビトールが蓄積されるポリオール代謝異常と、高血糖による動脈硬化の進展に伴う抹消血管の血行不良(神経への酸素や栄養素の未達)が考えられます。したがって、神経障害(初期)の改善のためには、血糖値のコントロールと足の血流改善が必要です。

<対処法> 実際には、高血糖に伴う血行不良は神経障害の症状が出る以前からひそかに始まっています。ですから、血糖値が高いと診断された方は、血糖値のコントロールはもちろんですが、足の血行維持のための対策をすぐに始める必要があります。 具体的には、マッサージや血行促進のために最適化された加圧(着圧)機能のある糖尿病ソックスを履くことが望まれます。
実際に米国では、糖尿病と診断された人々に対して糖尿病ソックスを履くことが広く推奨されており、一部購入費用が保険によって賄われています。 日本でも、足の神経障害を予防するために糖尿病初期から適切な着圧ソックスを履いたほうが良いと仰る血管外科や整形外科の先生方は多いのです。

今後は、症状が出る前から、血糖値のコントロールと併せて、血行を維持するために最適化された加圧機能を持つ着圧ソックスを日常的に着用するようになるものと考えられます。


②循環器障害の改善と予防

糖尿病は合併症の病気と呼ばれますが、3大合併症である細血管症(網膜症、腎症、神経症)だけではなく、冠動脈や太い脳の血管を含む大血管の動脈硬化すなわち大血管症が糖尿病の予備軍である境界型の時期から始まっているとされ、境界型の時期からの積極的な治療の必要性が強く言われています。
(JDS2004年の報告によると、虚血性心疾患、脳血管障害ともに糖尿病でない方の3倍の発症率となっていることが分かっています。)

一方、最適な段階的加圧機能を持った着圧ソックスは、第2の心臓と呼ばれる足の血流をよくすることにより、足だけでなく全身の血液循環の状態も改善する効果があります

つまり、正しい着圧ソックスを糖尿病の境界型の時期から日常的に履くことは、大血管症の予防にもつながることが期待されるため、アメリカの医療関係者が着用を推奨する理由の一つとなっています。